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更新日:2019年01月10日(木)

梅田講演会 『昔話の知恵に学ぶ幸運のヒント』

会場:関西学院大学大阪梅田キャンパス
講師:山 泰幸(関西学院大学 人間福祉学部 教授)

 大阪市内も厳しい冷え込みとなったこの日、会場は関学同窓生を含め満席となりました。
今回は、山 泰幸先生(関西学院大学 人間福祉学部教授)に『昔話の知恵に学ぶ幸運のヒント』と題してご講演いただきました。

 昔話には、主人公が苦難を乗り越えて、最終的には幸運をつかむ話が多く存在します。
その幸運をつかむのはどのような人物なのでしょうか?

 昔話とは、時代や場所、主人公の名前などを示す固有名詞が出てきません。(例)「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました」。
 これは本当かうそか分からない話であり、話の筋で聞く者をひきつけ、誰もが親しめ、分かりやすい展開であることが特徴です。
 また、おじいさんやおばあさん、若者や娘、犬や猫など、型にはまった人物が登場し、決まった動きをして、パターン化されたストーリーを展開し、人間の心の動きを反映した時代や場所を超えて誰にでも当てはまるような普遍性をもった話であると言えます。

 昔話の中心的テーマとして、昔話研究の大家、関敬吾(1899年~1990年)が、以下のような言葉を残しています。 昔話とは、「現実生活に立脚するもの」であり、「昔話の中心的テーマは広い意味における幸福の獲得であり、困難を克服することによって、幸福へ到達することを語るもの」。

 昔話は内容によって二つの群に大別されます。
・「婚姻を主題」
・「富の獲得」
 これは現代ドラマでも多いストーリーであり、昔から「理想的な結婚相手」を得ることと「富」を獲得することが一般的な「幸福」として考えられてきました。
 また、昔話の基本構造として、物語の始まりは、「欠損(不足)」状態から始まり、その状態を改善するプロセスとして物語が展開します。そして最終的に「欠損(不足)」が改善され、「充足」状態になります。また、主人公が異常な誕生(桃から生まれる)や独身、継子が多く、故郷を追い出され、困難を克服する旅に出るのも特徴です。
 物語が展開していく中で、主人公の「援助者」が現れることが多いです。この援助者は援助をするとすぐに消え、主人公も当然のように援助を受けて気にせず、困難を克服する旅が続きます。※イニシエーション(通過儀礼)。

 幸運をつかむ人物

① 「生まれつき備わった福分をもつ者」 → (例)子ども・赤ちゃん
援助者が現れて、その援助が当然のように受け入れる者。援助者から見れば、援助しやすい者。

② 「心がけがよくて神に愛されている者」 →(例)笠地蔵や貧しいが心やさしい爺
特徴は、見返りを求めない「贈与」を行ったこと。自ら援助者になることで、相手が援助者になる「助け助けられる関係」

 幸福を得た者も、失う者も、昔話の中での条件にはほとんど差がなく、ちょっとした行動の差が、結果的に大きな差になっています。
 私たちは、昔話に爺のような人物が登場すると、最終的には幸福になるだろうな、と思いながら読んでいます。人々は昔からそのような人物が幸福な結果になるような物語を好み、そのような物語を多く生み出してきました。

 昔話は、過去の経験を凝縮したものであり、それを語り伝え、子孫(後の世代)への思いやりと先祖(前の世代)への感謝の気持ちに根ざすものであり、親や祖父母など身近な存在が語る昔話を通して得られた体験(感情の動き)は、子どもにとっては「直接体験」であると言えます。

◆次回の梅田講演会は、以下の日時で開催します。

日 時:2019年1月18日(金)14:00~15:30
会 場:関西学院大学大阪梅田キャンパス 1405教室
講 師:林 直也 関西学院大学 人間福祉学部教授
テーマ:「スポーツ」×「地域活性化」
~「みる」スポーツの事例から学ぶ、スポーツが地域に根差す意義~
定 員:80名(先着順)
申込方法:大阪梅田キャンパスHPよりお申込ください。
http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/
お問合せ先:関西学院大学大阪梅田キャンパス事務室
電話(06)6485-5611
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